黒人差別が、まだ法的に許されていた時代に築かれたユダヤ系の老婦人と黒人運転手の友情物語です。
1989年に、第62回アカデミー賞で作品賞・主演女優賞・脚色賞などを受賞。黒人差別という重たいテーマながらも、ユーモラスに明るく描かれています。
ここでは、ネタバレや結末を含め「ドライビングMissデイジー」の魅力について解説します。
目次
映画「ドライビングMissデイジー」の簡単なあらすじ
- 1948年。アトランダでは、ユダヤ系老婦人のデイジー・ワサンが買い物へ行くために愛車へと乗り込みました。
- ですが、運転ミスにより隣家の垣根へと突っ込んでしまいます。
- デイジーの息子のブーリーは、運転手を雇う事を提案します。そして、現れたのが初老の黒人運転手のホーク・コバーンでした。
- デイジーは、周囲から成金と思われるのではと考えて運転手を雇う事を嫌がっていました。ですが、真面目で人柄もいいホークをデイジーは次第に気に入るようになります。
- やがて、デイジーは出かける時には必ずホークを呼ぶようになります。
- ある日。デイジーは、兄弟の誕生日を祝うためにモービルへとホークと向かいます。そして、途中で出会った警察官の対応に黒人やユダヤ系への差別を感じるデイジーでした。
映画「ドライビングMissデイジー」の結末は?ネタバレも含む
- いつしかデイジーには認知症の症状が出てきました。
- かつて教師だった頃の記憶に錯乱するデイジーを、ホークは優しく宥めます。
- そんなホークに、デイジーは「あなたは一番のお友だち」と伝えます。
- 1973年。養護施設に移ったデイジーの元に、ホークが訪れます。ホークの姿を見たデイジーは、表情を輝かせ以前のように会話を弾ませます。
- そして、ホークが差し出したパンプキンパイを美味しそうに口に含むのでした。
映画「ドライビングMissデイジー」の見どころ
作品のなかでは、黒人だけではなくユダヤ系への差別も描かれています。肌の色が違うだけで、民俗が違うだけで周囲との壁を感じながら生きる人々の哀愁がそこかしこに流れています。
ですが、デイジーとホークの間だけはそういった暗いムードはありません。
この作品の魅力は、重苦しいムードを一気に軽くしてくれる台詞まわしや、日常の何気ない風景です。
明と暗のバランスが絶妙です。
映画「ドライビングMissデイジー」の感想は?
出典:https://eiga.com/movie/47288/gallery/
これほどまでに黒人やユダヤ系の人々は生きづらかったのかと、改めて感じさせられました。GSに寄っても、ホークは黒人のためトイレを使う事もできませんでした。そして、デイジーの家に来たばかりの頃のホークは字の読み書きもできなかったのです。
現代なら考えられないような差別が、この時代は当たり前にあったのだと思い少なからずショックを受けました。
だからこそ、デイジーとホークの友情はとても尊いもののように見えました。認知症となり、錯乱しながらもデイジーはホークを一番の友達と言いました。
それは、もしかしたら同じような痛みや苦しみを分かち合える存在だからかもしれません。
ラストで、ホークが差し出すパンプキンパイを食べるデイジーはまるで少女のように無邪気に見えます。いろんな事を忘れても、ホークへの友情だけは忘れなかったのだと思うと胸が熱くなります。
映画「ドライビングMissデイジー」で印象に残ったセリフ
黒人であるホークは、これまで数えきれないぐらい辛い経験をしてきた事でしょう。
ですが、その事を嘆き悲しむだけではなく。誰かに怒りをぶつけるわけでもなく。淡々と日々を生きていく。穏やかなホークの、その内面を象徴するかのような言葉でした。
映画「ドライビングMissデイジー」を見た人の感想や評価評判口コミは?
マイナス評価の感想・声
「白人の老婦人と黒人男性の友情物語は共感しますが、淡々としていて退屈でした」
確かに、ストーリー中は華やかなロマンスも豪快なアクションシーンもないため、退屈と捉える人もいたのかもしれません。
プラス評価の感想・声
「デイジーが、だんだんお洒落をしてかわいくなっていくのが素敵でした。もしかすると、デイジーはホークに恋心を持っていたのかもしれません」
認知症になっても、ホークを特別な存在として認知しているデイジーの姿にそう感じる人もいたようです。口コミでは、デイジーとホークの関係性に注目が集まっているようです。
まとめ
心から信用できる友人に会える事は、実はとても難しい事です。「ドライビングMissデイジー」では、性別も人種も何もかもが違う2人のほのぼのとした友情が描かれています。見終わった後に、友情っていいなと素直に思えます。
そして、人種差別について知らなかった事もたくさんありました。この作品で、改めてその厳しさ辛さを学ぶ事ができました。