なんと本作は監督ジョージ・A・ロメロの自主製作になっています。
スタッフもキャストもほとんど社会人だったようですが、時間を作り作っていったといわれています。
あらすじや感想・ネタバレ結末も紹介していきます。
目次
映画「ナイト・オブザ・リビングデッド」の簡単なあらすじ
- ある日、バーバラは兄とともにお墓参りにいっていた。怖がるバーバラをからかう兄、そんな二人だったが突如不審者に襲われてしまう。
- 兄はその不審者に襲われて死ぬが、バーバラは何とか逃げだす。
- やがて民家にたどり着いたバーバラはその不審者は墓場からよみがえったゾンビで、今アメリカ全体がゾンビウィルスの脅威にさらされているのだと気が付く。
- 彼女は民家で黒人青年のベンや少し人間不信気味の中年男性ハリーと妻子、若いカップルと出会う。彼らもまたゾンビの脅威から逃げてきたものだった。
- ベンは若いカップルと地上でゾンビを見張るべきと主張するが、ハリーは妻子とともに地下にこもり騒ぎが落ち着くを待つべきだと主張する。
- バーバラはベン派に所属することになると彼らと共闘して脱出を図ろうとする。
映画「ナイト・オブザ・リビングデッド」の結末は?ネタバレも含む
- ベンたちは近くにガソリンスタンドを見つける、そこのガソリンを使いトラックに乗り安全な場所へ行こうというものだった。
- しかし、ガソリンは漏れてしまい作戦は失敗カップルは爆死した
- 爆死した死体をゾンビたちが捕食し、さらに民家の存在がばれてしまう。ゾンビの群れは民家を取り囲んでいく。
- やがて、彼らは籠城したバーバラたちを追いかけ囲み、バリケードを破壊して侵入してくる。
- ベンはたった一人で応戦するが、バーバラは逃げ惑うだけだった。
- ゾンビの中に兄をみつけたバーバラは一瞬を気をとられるが、かこまれて捕食されてしまう。
- 最初から対立していたベンとハリーは地下室をめぐり殺し合いになるが、ベンが勝利をする。
- 瀕死のハリーは地下室で妻と娘の前で息を引き取る。と、同時に実は襲われれケガをしていた娘がゾンビ化してしまい妻も食い殺されてしまう。
- たった一人生き残ったベンはなんとかゾンビ化したハリー親子を殺し、地下室を占拠する。そして、疲れた彼は眠ってしまう。
- やがて、夜は明けた。自警団たちがベンの籠城していた家に近寄ってくると次々にゾンビを殺していった。
- ベンは何事か、と立ち上がり地上に上がってくる。
- そんなベンをみた自警団はゾンビと勘違いしたのか、あるいは彼が黒人であるからか射殺してしまう。
- ベンの死体はゾンビたちの死骸とまぜて焼かれてしまう…。
結末は衝撃的?勘違いで死ぬ?
ネタバレをしてしまうとなんと本作の結末は主人公が勘違いで殺されて死ぬという衝撃的なオチでした!
なぜこうなったのかというと、ジョージ・A・ロメロ監督は当時アメリカ南部で影響力があったKKK(クー・クラックス・クラン)を批判する意味があったようです。
その当時の社会情勢などが入り、この映画のオチをこのようにしたみたいですね。
映画「ナイト・オブザ・リビングデッド」の見どころは?
- 薄気味悪いゾンビ
- 分かり合えない人間たち
- 根深い人種差別
①薄気味悪いゾンビ
本作のゾンビはルチオ・フルチに代表されるイタリアンゾンビやバイオハザードのゾンビたちと違いそこまでグロテスクではありません。
しかし、その薄気味悪さは一瞬で彼らが異形の存在だということがわかります。そして、実はこの1作目のゾンビたちは武器を使い全速力で走って追いかけてきます。
怖すぎますね
②分かり合えない人間たち
ロメロ監督特有のニヒリズムで人間たちは分かり合えない存在だとマジマジと描いてきます。
解放的・行動的なベンと受動的・閉鎖的なハリー。どちらにも言い分があります。
そして、結局殺しあうことになってしまいます。
現実的にこういうことはありえそうですね。
③根深い人種差別
本作の主人公は実質黒人青年のベンなのですがその最期は悲劇的というにはあっけなさすぎる最期でした。
このあっけなさすぎる結末には先ほどもいったようにアメリカの人種差別へのアンチテーゼ的メッセージがあります。ベンはなぜ殺されたのか?本当に自警団たちがゾンビと勘違いしたのか、あるいは彼が黒人だからか。よくわかっていません。
しかし、アメリカ南部では今でも黒人青年が家の近くに来たという理由で射殺される事件が起きていたり、公園でランニングしていたという理由で通報されて逮捕されてしまう事件がおきていることから今でも根ではあるのでしょう。
映画「ナイト・オブザ・リビングデッド」の感想は?
出典:https://eiga.com/movie/21945/gallery/
本作の感想についてですが、現代のゾンビ映画にはない独自の生々しさ・終末感があり一種のドキュメンタリーのような映画を見ている気分になります。
スピード感はありませんが、製作者の徹底的に観客やキャラクターを突き放した冷たい展開や淡々としたリアリズムがここちよくみれます。
ハッピーエンドが好きな人には向いてないかも?
映画「ナイト・オブザ・リビングデッド」で印象に残ったセリフは?
これは終盤に出てくる自警団の一人がベンを射殺した後に言うセリフです。
実際に60年代にリンチの末、焼き殺されてしまった黒人はいるらしいです。と、考えるとこのシーンとセリフはかなり深いものになってしまいます。
映画のエンドクレジットはベンの死体を囲んでつるされ焼かれてしまうという猟奇的な映像がつづきます。
映画「ナイト・オブザ・リビングデッド」の総合評価
ホラー映画というよりドキュメンタリー再現映画という印象が強く。ゾンビそのもの怖さより人間の生々しさが先鋭的に描かれています。
現代的なゾンビ映画に慣れ親しんだ人は「テンポが遅い」「ゾンビが遅い」という感想を抱くかもしれませんがやはりこの独自の生々しさリアリズムには勝てるゾンビ映画はないのではないかと思います。
映画「ナイト・オブザ・リビングデッド」を見るのがおすすめな人
- ホラー映画が好きな人
- ゾンビ映画が好きな人
- 映画の歴史が好きな人
まとめ
ジョージ・ロメロ監督は1999年制作のドキュメンタリー映画「アメリカンナイトメア」で語っています。「ゾンビとは我々だ。人間がゾンビなのだ。」
つまり、ゾンビが今でも映画やゲームなどで人気なのは彼らが我々のダークサイド的な部分でつながっているからなのかもしれません。