そのとんがったあらすじと悲劇的な結末からカルト的な信者や熱のこもった感想を持っているファンを多く持っているカルト映画として現在でも高い人気をほこっています。
しかし、この作品の影響でティム・バートン監督はシリーズから干されるという憂き目にあいました。
目次
映画「バットマン・リターンズ」の簡単なあらすじ
- 両親の仇であった宿敵ジョーカーを打ち破ったゴッサムシティ。しかし、そこでは新たな悪が鎌首をたちあげていた。
- 自らペンギンと名乗る異形の怪人はピエロ姿のギャングたちを操りながら街を破壊していた。
- クリスマスのある日、街で名士として名高いマックス・シュレックが何者かに誘拐されてしまった。その犯人こそペンギン一味だった。
- ペンギンは元々上流階級の長男だったが、捨てられ破棄された水族館のペンギンの集落へ落ち延びていた。
- ペンギンはシュレックの会社が裏で工場廃液を流していると知り、シュレックを恫喝。
表の世界へ進出しようとしていました。
映画「バットマン・リターンズ」の見どころ・感想は?
変人たちの愛憎ドラマ
まずバットマンといえば常人が変身しているヒーローとして有名ですが、基本的にこの映画では「変人」として描かれています。
その狂気ゆえに恋人とも別れ、執事と悲しく暮らす孤独な中年男性としてブルース・ウェインは描かれています。
そんなウェインが本作ではキャットウーマンと恋に落ちます。
これは少しネタバレになりますが、本作のキャットウーマンも変人でありバットマンとどこか本質的に同じの人間として描かれています。
そんな二人が時に愛し合い、憎みあいぶつかり合っていく姿には涙が禁じえません。
悪役ペンギンの狂気
前作に出てくるジャック・ニコルソン扮するジョーカーは絶対的な悪として君臨していました。
しかし、本作のペンギンはどこか切なさがあります。
元々大金持ちのコブルポット家の跡取り息子として生きていましたが、その白い肌高い鼻、鋭い犬歯、異形の姿をしていた彼は親に捨てられてしまったのでした。
それ以降ペンギンは愛や承認欲求に飢え地上へと進出していきます。しかし、彼は善人ではなかったのです。悪意をもって街を破壊していくことや部下をけしかけて悪事を働くことでしか自分を表現できなかったのです。
もしも彼が善人であればもっとなんとかなったかもしれません。
バットマンのカッコよさ
今作のバットマンは比較的狂言回し的存在ですが、逆にいうとたとえ自分と重なるところがあっても愛する人が悪党であっても正義を貫くためには町を守るのです。
そのストイックな姿はまさしくダークヒーローという言葉が似合うでしょう。
今作のバットマンはほかのバットマンたちと違い平気で悪人を殺すことから批判的な感想を抱くファンも多くいました。
しかしながら、原作最初期でのバットマンは悪人を平気で殺すダークヒーローであったことからその映像化ということで考えればあまり違和感はありません。
また本作以降、バットマンは殺人を行わなくなったのも、キャットウーマンという存在を通じて「悪人にもいろいろある」ということを学んだと考えれば理にかなっています。
映画「バットマン・リターンズ」で印象に残ったセリフ
ブルースがシュレックを殺そうとするセリーナを止めるときのセリフ。
双子のように同じで似たような部分がある。だから愛し合えるが、時と場合では対立する。
そんな人間の悲しさが出ているセリフだと思いました。
映画「バットマン・リターンズ」の結末&ネタバレは?
出典:https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=84
シュレックとペンギンの街への進出計画が進む中、シュレックの秘書であったセリーナはシュレックが計画している原発の計画がかなりずさんなものと知り内部告発をしようとする。
内気な性格をしていたセリーナはシュレックのセクハラ・パワハラに苦しんでいたので彼への恨みがあったのだ。
しかし、シュレックにみつかり高所から落とされたセリーナは転落し気絶する。するとセリーナのペットだった猫の群れが彼女に集まると新しい生命を与えた。ここで「キャットウーマン」が誕生するのだった。
一方、シュレックのライバルだったバットマン=ブルース・ウェインはシュレックの会社と取引をすることになる。
シュレックはブルースを甘やかされたボンボンと罵るが、ブルースは相手にしない。そんなところへ秘書のセリーナがやってきた。死んだはずではと焦るシュレックだったが、記憶がないとうそぶくセリーナを信じて平常心を取り戻す。
ブルースはセリーナに一目ぼれをして、彼女と恋に落ちる。セリーナも紳士的なブルースに惹かれていた。だが、バットマンとキャットウーマンとして二人は相反する存在であったのだった。
そのころペンギンは赤ん坊を救出する自作自演騒動を起こして、市民のヒーローになり市長選へ立候補する計画を打ち出す。この計画の金銭面的支援をシュレックは行っていた。そして、その邪魔者としてバットマンを排除することを考えた。
モデルを誘拐したペンギンはそれをバットマンがおこしたものと偽造工作して市民からバットマンが追いかけられるように貶める。
さらにバットマンの乗っているバットモービルをハッキングし、暴走させた。
その際に「ゴッサムシティのバカどもを俺が支配してやる!」と高笑いしていた。
しかし、冷静なバットマンは発信機を割り出し暴走をとめペンギンのしゃべっていた暴言も録音していた。翌日ペンギンは改めて市長選へ立候補するため演説を行おうとしていたが、バットマンの録音した暴言の音声をテレビ上で再生されたことで本性が暴露される。
金銭面で支援してきたシュレックもペンギンを見捨て逃亡を図る。
やがて、シュレック主宰のクリスマスパーティーに呼ばれたウェインはセリーナと遭遇する。二人はダンスを行うが、さりげない会話のやりとりでそれぞれがバットマンやキャットウーマンであることに気づく。
そして、セリーナはシュレックの殺害を図ろうとしてることに気が付いたブルースは止めようとした。
そんな最中であった。ペンギン一味が襲撃をしてきた。
彼らはシュレックを誘拐、パーティーでうかれる上流階級の白人の長男を誘拐したと宣言すると逃亡。ブルースは急いでバットマンに変身すると、さらわれようとする子供たちを突き止めると彼らを助ける。
計画が失敗したことが分かったペンギンは街を破壊するテロ行為へ計画を変更。
自身と共育っていった動物のペンギンたちを誘導すると街をミサイルで包み込もうとするが、バットマンの働きでペンギンたちの基地がターゲットになるように誘導された。
部下からも見捨てられたペンギンは発狂し、逃走。
人質になっていたシュレックも逃げようとするが、そこにキャットウーマンが現れ捕縛されてしまう。
一方逃走するペンギンだったが、バットマンに追いつかれてしまう。そして、動物のペンギンが背負うミサイル部隊がかけつける。とともにミサイルでペンギンの基地が火に包まれる。
その隙を見計らったバットマンはペンギンを攻撃、ペンギンは転落し川の中へと落ちていった。
そして、シュレックと心中を図ろうとするキャットウーマンをみたバットマンは彼女を止めようとする。
自分の正体がブルース・ウェインと明かし自分とともに生活しようとキャットウーマンことセリーナに呼びかけるが聞き入れず彼女はシュレックとともに感電死する道を選んでいったのだった。
ブルースは必死でセリーナの死体を探すが、シュレックの死体しかみつからなかった。
そこへ瀕死状態のペンギンがやってくる。
ペンギンはバットマンを殺そうとするが途中で息絶える。そんな彼を動物のペンギンたちは埋葬するように川に流していく。かくして悪はついえたのだった。
数日後、ブルースはアルフレッドが運転する車の中でセリーナらしい姿をみかけるが結局見失ってしまう。
「なにはともあれ、メリークリスマスブルース様。」呼びかけるアルフレッド、それにこたえるブルース。「メリークリスマス、アルフレッド。人々に愛を…獣にも。」
アルフレッドの運転するリムジンは雪の中を進みますが、ふととまる。
バットシグナルが点灯していたからだった。ふと、それを街のなかからみつめる女性がいた。キャットウーマンだった。セリーナは生きていたのだった。
結末は死んだはずのキャットウーマンが生きていた事が印象大
なんと本作の結末は死んだはずのキャットウーマンが生きていた。本作のキャットウーマンの能力は「不死身」ということになるのです。
そのあとのシリーズで出てきた様子はないので、そのまま街を去ったと考えるほうがいいでしょう。
ちなみにバットマン役のマイケル・キートンさんとキャットウーマン役のミシェル・ファイファーさんは別の映画で夫婦役で出演。
しかし、その夫婦も末期がんに苦しむというかなり暗いものになっていました。
映画「バットマン・リターンズ」の総合評価
非常に素晴らしい映画で、クリスマスにはに使わないダークな世界観が印象的でした。
映画「バットマン・リターンズ」を見るのがおすすめな人
- 普通の恋愛映画に飽きた人
- ティム・バートンの映画が好きな人
- 一風変わったアメコミ映画が見たい人
まとめ
そんなマイケル・キートンのバットマンですが、来年公開の「ザ・フラッシュ」でカムバックするといわれています。非常に楽しみですね。
個人的にはバートン監督の考えていた「白人と黒人の皮膚が混ざったトゥーフェイス」がみたかったです。
きっとかなり暗い内容になっていたでしょう。